2013 杏林大学 医学部 小論文 模範解答
私は,出生前診断の技術に関しては,賛成である。それは,診断によって得られた結果を踏まえ,親は生まれてくる子供に対する心理的,金銭的な備えが整いやすくなるためである。また,診断により判明した結果によっては,必要な社会的な支援を早期から意識できることも可能だからである。ただし,出生前診断に付随する本当の問題点として,記事に書かれているような「命の選別」という問題点がある。
私は,診断結果による安易な中絶に関しては,反対である。だが現在の出生前診断の実態として,自らの子供の遺伝子上の欠陥を知ったほとんどの親は,葛藤はありながらも,中絶を行っているのが実態である。親が中絶を決定する背景は,一体なにがあるのだろうか。結局のところ,日本における出産という行為や,育児を含め,子供を育てるという考え方に原因があるのではないだろうか。その原因の一つに現代社会がこれだけ変化したにも関わらず,日本において子供の養育に関して,親の経済的な負担が重くなりすぎているのかもしれない。社会的弱者に対する親の養育責任もそうである。子供の将来に対しても,親のみが唯一の責任を負うと考え,将来を見据えて,親は中絶の判断を取るように考えているのではないだろうか。そうした思考の延長線に,少子化問題もつながっている。もちろん,安易に親が責任を放棄し,社会に委ねる形での出産を助長すべきではないことは確かだ。だが,社会として親の負担軽減の取り組みやバリアフリーの観点は,社会を総体として豊かなものにすることにも,思いをはせるべきだろう。社会全体として,そうした社会的弱者を許容する寛容性や継続的な支援をする仕組みを持つことは,大事である。そうでなければ,ふとした機会に我々自身も弱者となった際に困るということにも繋がりかねないのである。そのため,今後も自分自身の問題として,意識し目を向けていきたい。(786字)
作成メモ
出生前診断と中絶を結びつけると 命の選別につながる。
そのためいちど,診断と中絶をわけて考えた。
ダウン症などの子どもを産まないという背景は,実は子供を産むことを避ける少子化の現象と根は同じ
遺伝子診断の結果からの選別は,優生思想へとつながる。
だが,受精卵の選別といった問題も自然選別だと好ましく,人工的な選別は好ましくないという思い込みも実は存在するかもしれない。そうなれば,選別をお金を出してできる人とできない人との格差をどうすべきというデザイナーベビー問題という格差問題へといずれ変わっていくかもしれない。
今回の模範解答については,現段階で医師という観点より
社会全体に目を広げた考察を展開している。(議論を拡大している。)
もう少し医師という視点で限定的な文章の方が良いかもしれないが,現時点ではここで筆を置く。
参考となる記事のリンク
NHK出生前検査 導入から1年 ~命をめぐる決断 どう支えるか~
新型出[論点]出生前診断で中絶倍増(1)事前カウンセリング必要
こうしたサイトに気になるフレーズを打ち込んで,記事に目を通すということも大事
(今回の場合 出生前診断)
広島 個別指導 エース 小論文