2014年 杏林大学 小論文 模範解答
私は,子供のいじめ被害者の減少という観点から考えを述べたい。具体的には,いじめ被害者の悲惨な自殺や精神的な後遺症をどのようにすれば防ぐもしくは解決できるのかということについてである。それには,三つの論点が考えられる。一点目はまず,いじめの被害者をきちんと認識できるかということがある。いじめにおいては,問題を認識することが難しく,いじめられている側も認めにくい土壌があるためである。そのためいじめのレントゲンとなるのは,両親や親しい大人,カウンセラーである。その際,子供の本音をきちんと聞けることが大事である。弱音をはくななどは,禁句である。時に,友達や同級生や先輩がこうした役割を担うかもしれない。だが,留意すべき点として,彼らが早急に加害者に働きかけ,問題解決を計ろうとし,事態が悪化するケースがある。
また,2点目は,解決策を被害者と話しあい作成するプロセスである。とりわけ,いじめ問題の解決が難しい点として,加害者の扱いがある。単純な加害者に対する処罰行為では,問題は解決できず,むしろ悪化する可能性がある。そもそも加害者は,被害者側のいやだという意思表明を押さえつけている,もしくは意思表明をしない子を対象としている。そのため,加害者を罰する前に,必ず必要なこととして,被害者は,もし処罰後一度でも加害行為が発生したら,絶対に解決者に伝えるという確約は欠かせない。もし再度の加害行為が発生し,被害者はやはり問題は解決できない,事態は悪化したと考え,自己解決をはかろうとした際に最悪の事態を招くためである。
最後は,いじめの解決した事例や発見した事例のデータベース化が必要である。(特に学校現場において)こうしたケースにおいてこのような解決策を取った。といったノウハウが集積することにより,今後の対処方法の参考となるためである。以上が私の考えるいじめについての考えである。(790字)
作成メモ
いじめの原因 どうしてその加害行為が起きるのか
人は,どうしても序列をつけたがる。 容姿,能力 etc
また自分にないものや異なる価値観を持っている人間に対していじめは起きやすい。
そうした加害者の行為は意図的な無意識的行為である。
(自分の加害行為で自分が悪役となっているという認識ができていない。笑いのためや,教育的行為など自分にとって都合の良いカテゴライズで加害行為を見えなくしている?)
特定の組織(例 軍隊や教育など)は基底となる価値観から,物事の善悪が判断されており,時に指導という正当化がされるために,巧妙にいじめが覆い隠されることもある。
小論文作成時の ファーストステップとして
課題に対する 適切な問題設定 設定の仕方はいくつもあるが,
ここで一応3つに分けて 1 どうして問題が発生するか? 問題の背景
2 問題に対して,適切な対処策とは何か? 対応策
3 所感 いじめだめぜったい 作文
1 いじめが発生する心理的なメカニズムについての考察 (精神科医・心療内科医的テーマ)
加害者心理 自分の地位や能力が脅かされる際に生じるケース
弱者を作ることで,相対的強者として自己を保全するケース
<いじめ側のこうした行動は無意識下でもあり,自己認識しにくいことが多い。
このことは,ある意味で,差別問題にも通じる。>
例えば,異質なグループでも棲み分けがきちんとできるような状態を作る。
高校に比べ大学はイジメが起こりにくい。その理由は所属の強制力が低いからか 下記の文献より
良書です。高校生でもぜひ一読してもらいたいオススメ本です。
苅谷剛彦氏の「知的複眼思考法」(講談社、1996)
2 いじめ被害者の減少という観点から
① 被害者の声をいかに聞けるか
聴き取り者(大人が望ましい)早急な問題解決を図ろうとするため
ヒヤリングに対する徹底的な守秘義務 適切な解決への道筋を相談し 策定する。
(会社や学校においては,出世や不利にならないための仕組み作り)
適切な第三者による解決策の提示
3 作文(?)
いじめは絶対に許されない。といった,単に倫理的に明らかな課題に対する賛同
<(個人的には)評価は低い。よほど感動的であれば,別。もし過去の合格者でこうした内容で記入し,合格したなら,科目試験が良かったか,そもそも小論文試験は作文試験として,採点基準はいかに人道的,感動的に書かれているか?という点なのだろう。>
広島 段原 個別指導エース 小論文