2013 杏林大学 小論文 模範解答
まず,最初に友人よりも勉強という大学生の考え方の変化の原因を考察する。その要因として,二点があげられる。一点目は,社会つまり会社からの要求からである。バブル崩壊後,企業はバブル期のようなOJTを行う余裕を失った。そのために学生側にビジネスに直結する技能の習得や就職試験において,以前よりも能力を求める流れとなったためである。そうした会社からの要求に対して,学生が応えるために変化したということである。
二点目は,大学生の価値観が変化したためである。つまり,個人の価値観として,友達が大事という考えではなく,自分自身の成長を望む人が,それだけ増えたということである。個人重視の価値観の背景には,核家族化で,兄弟が少ないという環境変化もあるのだろう。二つのこうした要因が,重なり,アンケートの結果に示されていると考えられる。その上で,私が心配する点は二点ある。一点目は学生が他者と力を合わせることが,苦手となっていないかという点である。確かに個人の能力も大事であるが,社会や会社に入れば,多くの仕事は一人だけで行うわけではない。チームや組織として,行動をする必要がある。あまりに個人化の流れが続いてしまえば,個人の評価を大事にするあまりにスタンドプレーに走る点が心配だからである。二点目は,他者を慮る能力が,失われてしまわないかという点が心配である。どうしても,個人主義が進められていけば,他人の失敗をカバーすることよりも,非難することが多くなってしまう。それでは,せっかく個人間で高い能力を持っていたとしても,結局,萎縮してしまい,高い能力を出し切ることが難しくなってしまう。そのため単に個人の能力だけを求めるよりも,目的を意識し他者を助けることのできる人材を求めた方が,好ましい側面があることも指摘できる。(754字)
ちなみに現在,最後のメッセージにも繋がりますが,一時期盛んにもてはやされた成果主義は,
成果主義は失敗だった。という見方がなされています。
今回の文章は,少し全体像の分析と考えた点を中心に書きましたが,
精神面,心理面に興味を持つ場合は,個人の価値観がどうしてこのように変化したのか?という設定で
詳細に論述するのも良いかと思います。
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