広島 南区 段原にある 学習塾
個別指導エース 学習塾

082-262-1639
Line友達追加はこちらから

書評 幼児教育の経済学について

就学前教育は,大事 就学前の非認知的トレーニングは,
貧困層にとっては,将来に必要な大事な土台に

本日は,久しぶりに図書館で1年も待って借りた
『幼児教育の経済学』をご紹介します。

一言で,メッセージだけを言えば
就学前教育は,大事です。

これだと, うっ,うん,普通ですよねと,なってしまいますので
より具体的に丁寧に もう少し,丁寧に書かせていただきますと

就学前の非認知的トレーニングは,
貧困層にとっては,将来に必要な大事な土台となる。

となります。もちろん,こうしたメッセージを裏付ける証拠や,根拠は?と言う話ですが,それは,アメリカで行われたペリー就学前プログラムという貧困層に対する教育支援を踏まえた結果からでした。

この本には,著者であるヘックマン教授(ノーベル経済学賞受賞の偉い人です)の主張に対する各専門家の厳しい反論も書かれています。

例えば,『やる気にみちた人々による,小規模の実験的努力は成果を示す,だが,それを綿密な設計によって大規模に再現しようとすると,有望に思えた効果が弱くなり,そのうちにすっかり消滅してしまうことが多い。』
本書 P62から引用

このメッセージは,要はリバタリアン的に
《 政府がやることは,お金をかけた割に,うまくいかないことが多い。》
ということであり,やったところで実際に,本当に上手くいくかどうかは,わからないということでしょう。

別の専門家の意見では 就学前の親への教育も,高い効果も示している。という別の観点からの指摘もあります。

ただ,本書の裏には,格差是正対策は早い段階から対策を打たないと,社会全体としては,より負担が上昇することになるということを示しているわけです。

そのために ヘックマン教授の大事な主張として 公共政策において『経済的に恵まれない子供達への教育投資は,公平性と効率性を同時に促進する稀な公共政策である』ということなんでしょう。

ただ,せっかくなので,もう少し,先に思考を進めてみてみます貧困層への手厚い対策というのは,福祉の磁石(福祉の磁石については,こちらのサイトの説明が良かったです。)を生みます。加えてその自治体における資産価値の低下(貧困層の移住による商業イメージの低下や治安イメージの低下により,土地価格の下落などを生む可能性があります。)も招きます。その結果から,足の投票(人気のある住みたいとこに住むという事態)を招き,富裕層が,自治体から転出し,貧困層が流入するという状況を生みだしそうです。
実際に,米国では富裕者層が作った自治体まで,生まれる有様です。その点を考慮すると,最終的に税収の低下を招き,より低迷といった痛ましいスパイラルな結果を引き起こす可能性を考慮する必要があるかもしれません。そうなってしまえば,人口減少化の自治体にとっては,命取りになりかねない。問題を発生させてしまいます。

そのため,実は高福祉政策というのは,むしろ東京や大阪のような人口の移入の多い県において推進すべき長期的な人口忌避政策(短期的には,より流入を招きますが)なのかも知れません。

逆に地方は,倫理的には,反感を持たれるかも知れない富裕層の移住を優遇する政策競争が長期的には,実質的な効果を生む可能性を秘めているとも言えます。(例えば,高額所得者の移住推進→所得層移住に伴った需要喚起→経済振興)と言った具合からです。むろん,大都市には,教育環境などのリソースが豊富であり,それ以外の面でも強みがあるためにすぐに短絡的にこうした状況になるということは想定はしにくいですが

ただし,こうした点は,公共政策の倫理の罠ともいえそうです。ひとまず今回は,これくらいで思考実験をおひらきにしておきます。また,別の観点からも考えてみたいものです。

広島市南区段原にある個別指導 学習塾 個別指導エース

back to page top